新潟県最北の城下町である村上を流れる三面川(みおもてがわ)は、古くから鮭の川として知られている。歴史をたどれば、平安時代に村上の鮭が都の王侯貴族に献上された記録も残っている。江戸時代になると、鮭は村上藩の貴重な財源ともなり、藩士の青砥武平治(あおとぶへいじ)が、鮭がふるさとの川へ帰る「母川回帰(ぼせんかいき)」の習性をみつけ、「種川(たねがわ)」と呼ばれる産卵に適した人工の河川を引いて、世界で初めての自然ふ化増殖に成功している。
そして、村上では、この鮭を用いた伝統食文化が今も脈々と受け継がれている。その代表が、鮭の「塩引き」と「酒びたし」である。気温が下がる11月下旬から始まる「塩引き」の仕込み。軒先や土間に吊るされた鮭は、村上の風物詩である。まっすぐな姿の仕上がりを求めて、頭を下にして吊るすのは、村上ならではの方法。鮭の腹を一機に切り開かずに、真ん中で繋いでいるのは、切腹のイメージを嫌い、鮭を尊ぶ城下町・村上の意気だ。
寒風に晒された「塩引き」は、約1ヶ月で食べ頃になる。さらに、吊るして梅雨を越えてしっかり熟成乾燥させると「酒びたし」ができあがる。この「酒びたし」は、読んで字のごとく、薄く削いだ身を酒に浸して食べる。この酒は、よい酒であればあるほど旨味が増すという。ならば、村上には旨い地酒がある。鮭の「種川」に湧く伏流水と同じ水で仕込んだ地酒で味わう「酒びたし」。まさに村上の風土の味である。
寒風に晒されて美味になる塩引き鮭














