
つかもとけんじ・昭和29年(1954)新潟県佐渡市に生まれる。学生時代に山岳の素晴らしさに目覚め、北アルプスを中心に山を歩く。佐渡に帰島後、ドンデン山の山小屋管理人を経て、国民宿舎の支配人を10年務め、佐渡の自然保護と広報活動に尽力する。
「佐渡は北緯38度線上にあります。この緯度は、ちょうど南方系植物の北限、北方系植物の南限にあたり、植物相が豊富なのです」と佐渡の植物と自然について語り始めた塚本健二氏。小佐渡の海岸線には、九州の海岸と同じようにタブやシイなど木が茂り、低山には本州の2000m級の山で見られる植物が花開く。まさに不思議の島、奇跡の島だという。
「佐渡では、本州の山がまだ雪に覆われている5月の連休を挟んで、雪割草、カタクリ、シラネアオイなどの山野草が順に咲いていきます。圧縮効果というのですね。佐渡では、山麓から山頂まで標高差わずか600mの間にいろいろな野生の花がいっぺんに見られるのが大きな魅力です」
「本州ではなかなか見ることができないシラネアオイも、ここでは、登山道の脇で何百、何千株と見ることができます。タヌキ以上の獣がいない佐渡では、シカやサルなどによる食害が少ないのも理由の一つでしょう」
今、花のトレッキングを楽しみに佐渡を訪れる人は、年間2万人を超えるという。踏みつけによる登山路や植生の被害は今のところないが、トイレ事情が当面の問題とか。現在、金北山の縦走路にあるイモリ平に携帯トイレブースを設置し、団体のガイドツアーには携帯トイレの使用が義務化されているという。
「『10年前と同じ花に出会える山』が我々のキャッチコピーなのです。だから10年後も同じ花に出会えるように自然を守っていかなければなりません」と最後に語る塚本氏。いつまでも佐渡に美しい花々が咲き続けることを願いたい。
「花の浮島といえば、北海道の礼文島、沖縄県の西表島、そして新潟県の佐渡島でしょうね」
「本州では、なかなか見られない花がたくさん残っているのが、佐渡の大きな魅力です」と佐渡の花の魅力を語り始める植物写真家の高橋修氏。
「花を訪ねるなら春の時期が一番のおすすめです。特にドンデン山の周辺ははずせません。春のアオネバ渓谷をぜひ歩いてみてください」と毎年、花の撮影に佐渡を訪れる高橋氏は続ける。
「4月下旬から5月上旬にかけて、雪割草(オオミスミソウ)のほか、カタクリやキクザキイチゲなど、日本海側でよく見られる花が多く咲いていますし、関東周辺ではなかなか見られないシラネアオイも簡単に見られるので驚きます」
「6月中旬になると、大佐渡の大野亀でトビシマカンゾウの大群落が見られます。さらに6月の佐渡の海岸では、島をぐるっと巡るように、色鮮やかなオレンジ色のスカシユリやアサツキ、タイトウゴメなどの海岸植物が、咲き揃ってみごとですね」
「この頃、山の上ではレンゲツツジもきれいですよ」
「佐渡へ撮影に出かける時は、船でしか行けない旅に旅情を感じます。せっかく島に渡ったのだから最低でも1泊はしたいですね」
ジェットフォイルとレンタカーを利用して日帰りで撮影することもあるが、フェリーで車を持ち込み、4〜5日かけて島を巡ることも多いという高橋氏。花のほかにも、トキや多彩な歴史・文化に彩られた佐渡島をじっくりと歩いてみたい。
たかはしおさむ・昭和39年(1964)生まれ。植物写真家の木原浩氏の指導を受け、植物写真を中心にカメラマンとして山岳雑誌等で活躍。毎年、佐渡に花の撮影に訪れるほか、国内外の山野を精力的に飛び回る。著書に『越後・佐渡・谷川岳・苗場山植物手帳』(小社刊)などがある。
大佐渡山脈で春の花三昧の山旅を楽しみ
魅力ある佐渡の歴史文化にも触れる旅へとでかけよう
県内最大の湖である加茂湖を擁する国仲平野を挟み、大佐渡と小佐渡の二つの山脈が並ぶ佐渡は、伝統と歴史を秘めた島でもある。平野部には、鎌倉時代に国府が置かれ、日蓮ゆかりの阿仏房妙宣寺や、ボタン寺ともいわれる長谷寺などの古刹も多い。また、江戸幕府の財政を支えた史跡の佐渡金山は必見の観光ポイント。北前船の寄港地として栄えた小木では、たらい舟に乗る楽しみもある。 佐渡最北端の弾埼から北西海岸の尖閣湾にかけて、約50kmにわたって続く外海府エリアの海岸美も魅力だ。特に5月下旬から6月中旬にかけて大野亀で見られるトビシマカンゾウの大群落は圧巻。この頃の海岸はハマナスやスカシユリなどの海岸植物も咲き揃って美しい。ジェットフォイルを使えば、東京から1泊2日の旅も容易だ。

佐渡のシンボルでもあった日本のトキが絶滅して久しいが、トキ保護センターで中国から譲り受けたトキの人工繁殖に取り組み、現在、約100羽を数えるまで増殖した。そして、休耕田を利用したビオトープの設置や減農薬農業に取り組むなど、トキの生活環境を整えて、いよいよ今年の秋に試験的な放鳥が行われる。空を舞うトキの姿は佐渡の豊かな自然の象徴になるに違いない。
写真協力/佐渡トキ保護センター
電車・バス…東京駅から上越新幹線「とき」で2時間30分の新潟駅下車。新潟交通バスで15分の新潟港・佐渡汽船ターミナルから両津港までジェットフォイルで1時間、または、フェリーで2時間30分
クルマ…日本海東北道新潟亀田ICから国道49号、国道7号経由で約20分の佐渡汽船ターミナルからフェリーで2時間30分
電車・バス…新大阪駅から東海道新幹線「のぞみ」で東京駅まで2時間30分。名古屋駅から東海道新幹線「のぞみ」で1時間40分。東京から先は上記参照。
クルマ…大阪からは、北陸自動車道、日本海東北道を経由、新潟亀田ICから国道49号、国道7号経由で約20分の佐渡汽船ターミナルからフェリーで2時間30分
名古屋からは、中央道、長野道、上信越道、北陸道、日本海東北道経由、新潟亀田ICから国道49号、国道7号経由で約20分の佐渡汽船ターミナルからフェリーで2時間30分
佐渡観光協会 電話:0259-27-5000
山野草の宝庫のドンデン山や、トビシマカンゾウ咲く大野亀へのアクセスには、花の時期に運転される佐渡・花観賞ライナーバスの利用が便利だ。
運行期間…4月19日(土)〜6月1日(日)の毎日
コース…両津港〜アオネバ登山口〜ドンデン山荘
(1日2往復運転)
運賃…両津港〜アオネバ登山口 300円
両津港〜ドンデン山荘 700円
運行期間…6月1日(日)〜6月15日(日)の毎日
コース…両津港〜はじき野〜二ツ亀〜大野亀
(1日2往復運転)、相川(佐渡会館前)〜大野亀(1日1往復運転)
運賃…両津港〜大野亀 800円
相川(佐渡会館前)〜大野亀 1200円
このほか、ドンデン山〜金北山の縦走に利用できる「金北山ライナー(両津港・相川〜白雲台間、5月10日〜6月1日運転)」や「石花ライナー(相川〜石花登山口間、4月19日〜5月9日運転)」もある。
※佐渡・花観賞ライナーバスは事前予約制。
申込は新潟交通佐渡(株)電話:0259-52-3200
写真/編集部 高橋修 文/村田正博
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