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ー連剤ー 京都人・柏井壽さんが選んだ 京都の「ほんまもん」第5回(全12回) 涼やかな京の朝 朝の京都にこそ、京都人気質が表れる。夏の朝のひとときに垣間見られる「ほんまもんの京都」を散策してみよう。

日々交わされる朝の挨拶に京都人の素顔がのぞく

 夏の京都。尋常ではない暑さに、観光どころではない、と避ける向きも少なくない。
 確かに昼の熱気、夜の蒸し暑さは、長年住んでいる身にも辛く、一向に馴れないのも事実である。唯一、夏の京都で「涼」を感じられるのが朝。陽が高くなるまでの僅かな時間は、如何に京都といえども、ほんのひとときながら、涼やかな表情を見せるのだ。
 住まう人々の高齢化が、一層、その流れに拍車を掛けた。京都人の朝は早い。
 京都御苑、鴨川堤、夜が明けるか明けないかの早暁から、人影が慌しく動きはじめる。連れ立って散歩する老夫婦の足許では子犬がじゃれつき、その横を走り抜ける中年男性が、朝の挨拶を投げかける。きっと毎朝繰り返される光景なのだろう。日常の京都、普段着の京都がここにある。薄化粧の昼、厚化粧の夜、京都はその時間の移ろいに合わせて、衣装も替える。だがそれは、あくまでもよそいきの表情。幾許かの媚を含んでいる。
 散歩道のみならず、パン屋、食堂、早朝の店先にも普段着の京都が垣間見られる。如何にも通い慣れた風に、いつもの商品を掛け橋にして客と店の間に、朝の挨拶が交わされる。
「今日も暑ぅなりそうですなぁ。よろしゅうに」
「おおきに。いつもありがとさんどす」
 つかず離れず、絶妙の距離感を保ちつつ交わす朝の挨拶に、涼やかな京都人気質が表れる。昼でもなく、夜でもない、朝にこそ、京都のほんまもんがある。
PROFILE
柏井壽
かしわいひさし
歯科医・エッセイスト。旅好きで食通。『京都の値段』(プレジデント社)、近著に『極みのひとり旅』(光文社新書)など。テレビ朝日系列の番組「旅の香り時の遊び」の旅監修も担当。

撮影:ハリー中西
協力:JR東海ツアーズ


◆次回は、秋の訪れを感じさせてくれる「ほんまもん」を紹介予定。お楽しみに。


1 購入した焼きたてのパンは、店内のイートインスペースで食べられる。サクサクのクロワッサンにはカフェ・クレームを添えて

2 まるでビストロのような外観。この前で写真を撮る観光客も少なくないほどの人気店だ
3 パンの焼ける香りでいっぱいの店内にはフランスのブランジェリそのものというパンやスイーツが並んでいる

1 購入した焼きたてのパンは、店内のイートインスペースで食べられる。サクサクのクロワッサンにはカフェ・クレームを添えて 2 まるでビストロのような外観。この前で写真を撮る観光客も少なくないほどの人気店だ 3 パンの焼ける香りでいっぱいの店内にはフランスのブランジェリそのものというパンやスイーツが並んでいる
上京区 ル・プチメックのクロワッサン・オ・ブール 126円

焼きたてパリパリの一品を「マイパン」に
 「和」の代表とされる京都ながら、その気質は意外にも「洋」志向が強く、いわゆるハイカラ好みである。だからかどうか、京都の街中では、パン屋さんが多く鎬を削っている。自分好みのパン屋を見つけ、「マイパン」を人に贈るのも京都人のひそかな楽しみ。パン屋通りの異名を取る今出川通りで一番人気が「ル・プチメック」。焼きたてクロワッサンが芳ばしい。


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ル・プチメック ル・プチメック

DATA 住所:京都市上京区今出川大宮西入ル 電話:075-432-1444 営業:8〜20時(カフェは19時L.O.) 定休:月〜木曜 交通:市バス「今出川通大宮」下車徒歩1分


上京区 京都ブライトンホテル「螢」の 朝粥 2887円

贅沢な朝粥膳で京都の朝を満喫する
 普段着の朝もいいが、たまには気取った朝もいい。少しばかり贅沢な朝を過ごすのに、朝粥は如何だろう。名だたる料亭のそれも悪くないが、予約も要らず、気楽に食べられて、なおかつ、ほんまもんの朝粥膳。女性好みの瀟洒な佇まいで人気の「京都ブライトンホテル」。泊まらずとも食べられて、たっぷりのおかずを従えた朝粥に思わず笑みがこぼれる。


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京都ブライトンホテル きょうとブライトンホテル

DATA 住所:京都市上京区新町通中立売 電話:075-441-4411 営業:朝食7〜10時、ランチ11時30分〜14時30分、ディナー17〜22時 定休:無休 交通:地下鉄烏丸線今出川駅よりシャトルバス5分
1 ノルウェーサーモンのひと塩にだし巻、酢の物、おひたし、季節のたきあわせと朝からボリューム満点。自家製の梅干はつい2個目をとってしまうほど美味。お粥は白いごはんに変えることもできる
2 優しい螢の文字が迎えてくれる 3 清清しい庭を眺めながらいただけるのも、朝のご馳走 1 ノルウェーサーモンのひと塩にだし巻、酢の物、おひたし、季節のたきあわせと朝からボリューム満点。自家製の梅干はつい2個目をとってしまうほど美味。お粥は白いごはんに変えることもできる

1 ノルウェーサーモンのひと塩にだし巻、酢の物、おひたし、季節のたきあわせと朝からボリューム満点。自家製の梅干はつい2個目をとってしまうほど美味。お粥は白いごはんに変えることもできる 2 優しい螢の文字が迎えてくれる 3 清清しい庭を眺めながらいただけるのも、朝のご馳走


1 愛犬とともに散歩をする人たちが次々と訪れる早朝の賀茂川畔。ジョギングする人、楽器の練習をする人と、この場で憩う人はさまざま 2 高野川と賀茂川が出町柳で合流し鴨川になる

3 橋上からながめる風景も夏の朝らしい爽やかさ

1 愛犬とともに散歩をする人たちが次々と訪れる早朝の賀茂川畔。ジョギングする人、楽器の練習をする人と、この場で憩う人はさまざま 2 高野川と賀茂川が出町柳で合流し鴨川になる 3 橋上からながめる風景も夏の朝らしい爽やかさ
北区 朝の賀茂川散歩

京都人の憩いの場所朝から晩まで大活躍
 些か陳腐な表現だが、賀茂川は、まさしく京都人にとって「憩いの場」である。とりわけ夏になると、老若男女が時間の移ろいと共に棲み分ける。夕暮れには、寄り添って石堤に腰掛ける若いカップルが、見事な等間隔で居並び、夜が更けるに連れて、その熱気を高める。同じ場所が一夜明けると、主役を老人たちに譲り、涼やかな賀茂川に変わるが、水の流れは変わらない。


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賀茂川 かもがわ


下京区 大弥食堂のしっぽくうどん 300円

参詣客のお腹を満たす京の名物うどん
 朝早い、といえば、やはりその代表はお寺さん。中でも、早朝から多くの参拝客が訪れるのが東本願寺。鳩が飛び交う門前は朝早くから賑わいを見せる。そんな客の空腹を満たす為に早朝から営業する「大弥食堂」。ここのうどんが人気を呼んでいる。あっさりとした出汁、京都ならではの軟らかなうどん。安価ながらも、ほんまもんの味わいが嬉しい。


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大弥食堂 だいやしょくどう

DATA 住所:京都市下京区下数珠屋町通東間之町東入ル 電話:075-371-1194 営業:7〜18時 定休:日曜 交通:JR京都駅より徒歩8分
1 湯葉、しいたけ、かまぼこ、のり、ねぎが入った「しっぽくうどん」。値段は先代の頃から変えていないという

2 懐かしさ漂う店内。足を踏み入れたとたんにほっと和む。修学旅行生や外国人客も多いそう 3 庶民的だが時代を感じさせる外観。隣にはご主人が営む喫茶店も 4 京の名物「にしんそば」は430円。しっかりと煮含めれたにしんの味がだしにしみ出しそばにからむ

1 湯葉、しいたけ、かまぼこ、のり、ねぎが入った「しっぽくうどん」。値段は先代の頃から変えていないという 2 懐かしさ漂う店内。足を踏み入れたとたんにほっと和む。修学旅行生や外国人客も多いそう 3 庶民的だが時代を感じさせる外観。隣にはご主人が営む喫茶店も 4 京の名物「にしんそば」は430円。しっかりと煮含めれたにしんの味がだしにしみ出しそばにからむ


1 壬生菜や賀茂茄子など採れたての野菜が、山のように積まれて売られる。この新鮮さは産地ならでは

2 近県からわざわざやってくる人が多いこの朝市。買い物だけでなく、朝の空気や里の佇まいを楽しむ人であふれる 3 野菜以外に人気なのが、紫蘇ジュースや紫蘇酢など、これを目当てのファンもたくさんいるそう
4 手作りのおやつも人気の品。小腹がすく時間になると、そこここのテーブルにおやつが広げられ、ちょっとしたカフェ状態になることも

1 壬生菜や賀茂茄子など採れたての野菜が、山のように積まれて売られる。この新鮮さは産地ならでは 2 近県からわざわざやってくる人が多いこの朝市。買い物だけでなく、朝の空気や里の佇まいを楽しむ人であふれる 3 野菜以外に人気なのが、紫蘇ジュースや紫蘇酢など、これを目当てのファンもたくさんいるそう 4 手作りのおやつも人気の品。小腹がすく時間になると、そこここのテーブルにおやつが広げられ、ちょっとしたカフェ状態になることも
左京区 大原朝市の野菜などなど

早起きしてでも求めたいほんまもんの京の味
 毎週日曜日の朝、7時を過ぎた頃、大原街道に時ならぬ渋滞が発生する。原因は朝市会場へ向かう車の列。それほどに賑わう朝市には、地元客に混じって観光客の姿も目立ち始めた。朝市で買う京野菜が立派な京土産になるからだ。別名「鯖街道」ゆえの鯖寿司や、パン、花など、いろんな店が居並ぶが、人気はやはり野菜。地元の農家直売、ほんまもんの京野菜。


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大原朝市 おおはらあさいち

DATA 住所:京都市左京区大原上野町498 電話:075-744-4141(京都大原里づくり協会) 営業:7〜11時 定休:月〜土(毎週日曜開催) 交通:市バス「野村別れ」下車徒歩5分


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