朝と夜の桜散策で京都のほんまもんに出合う
京都の空気を表す代表的な言葉に「はんなり」がある。
「はんなりしたお召しどすなぁ」など、主に着物などが華やいだ様子を言い表すものだが、京都の街の空気全般を言うことも少なくない。
はんなり、は、花なり、から変化した言葉。花は当然のごとく桜である。
弥生三月が終わろうとする頃から、ぼちぼち桜便りが聞こえ始め、卯月の声を聞くと、京都の街は一斉にはんなりと華やいだ空気に包まれる。
お江戸のそれとは些か趣を異にする京都の花見。飲めや歌え、とは対照的に、散策の途上、物静かに花を眺める。
じっくりと花を眺めるなら避けるべきは人の多い昼間。叶うなら早朝か夜更けがいい。
花とて命あるもの。生命力漲る朝には、清冽な空気の中、生き生きとした色を見せ、或いは夜更け、余計な背景を消し去る闇夜に、妖艶な姿を浮かび上がらせる。
朝と夜の間は、茶を、菓子を、弁当を愉しみ、お土産を物色するのが正しい京都の春の過し方。 |
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PROFILE
柏井壽 かしわいひさし
歯科医・エッセイスト。旅好きで食通。『京都の値段』(プレジデント社)、近著に『極みのひとり旅』(光文社新書)など。テレビ朝日系列の番組「旅の香り」の旅監修も担当。
撮影:ハリー中西
協力:JR東海ツアーズ
| ◆京都の四季の移ろいとともにお送りした「京都のほんまもん」は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。 |
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