名城の桜祭りの豆知識
知っているようで、意外と知らない桜やお城の話。
そのいわれや歴史、身近なギモンをやさしく解説します。
さくらの語源
photo これだけ広く親しまれているのに、よくわからないのが“さくら”という言葉の意味だ。語源についてはいろいろな説がある。古事記にも登場し、神社の祭神としてしばしば名前を聞く木花開耶姫(このはなさくやひめ)の「サクヤ」からきたという説。麗(うら)らかに咲くという意味の「咲麗(さきうら)」からきているという説。咲く花の総称である「咲(さ)くらむ」からきたのだという説。桜の「さ」は早苗、早乙女と同じく、穀霊(こくれい。穀物の神霊)を表す接頭語で、「くら」は神霊が鎮座する場所(馬の鞍と同じ「くら」)を指し、「さくら」で穀霊の集まる依り代(よりしろ。神霊が宿るもの)を表す説。昔から、桜の開花が農作業の目安のひとつになっていたことを思えば、いにしえの人々が桜に実りの神が宿ると考えたとしても不思議ではないのかもしれない。
ソメイヨシノ
photo 現在、桜の代表ともいえるソメイヨシノは、ヤマザクラ系のオオシマザクラと、ヒガンザクラ系のエドヒガンとの交雑種。植木で知られた江戸の染井(そめい)で生まれたことからその名がある。この桜、自生しているものはなく、接(つ)ぎ木で増やしてきた。つまり日本中のソメイヨシノはすべて同じ遺伝子を持ったクローンなのである。
ヤマザクラなどには樹齢数百年以上の古木も存在するが、ソメイヨシノは数十年しか寿命がない。なのに今では、全国の桜のうち約8割がソメイヨシノという状態だ。どうして、こんなにソメイヨシノが多いのだろうか。理由としては、薄いピンク色をしたやや大き目の花が枝にびっしりついて花が咲くと、ほかの桜よりも華麗に見えることや、葉よりも花の方が先に咲くため、見栄えがすることが考えられる。さらに実利的な理由として、成長が早くて、10年も経てば立派な木になり、他の桜より早くから花をつけることも普及した原因だ。
桜前線
photo テレビや新聞などでよく見かける桜前線の図。桜の開花日が同じ場所を線で結んだもので、正式には「等期日線図」という。観測の対象となる桜は、北海道の一部や沖縄などを除き、ソメイヨシノが基準となっている。 ここでいう「開花」とは、観測対象とする桜の花が5〜6輪開いた状態のことをいい、「満開」とは80%以上開花した状態を指す。開花予想は各気象台や測候所の定めた標本木を基準としているため、名所の桜とは若干ズレを生じることもある。ちなみに東京の標本木は靖国神社にある1本の桜。気象条件などにもよるが、開花から満開になるまでの日数は九州で約8日、関東で約7日、東北では約5日と、寒冷地になるほど短くなる。
気象庁は、3月3日頃から開花予想の発表を行っている。今年の花見の計画は、るるぶcomを見たり、気象庁(http://www.jma.go.jp/)や気象協会(http://tenki.jp)などのホームページでチェックすれば完璧かも。
桜餅
photo 桜餅と聞いて、どんな姿をイメージする?実は、うどんやおしるこ、鰻の蒲焼きなどに関東風・関西風があるように、桜餅も関東・関西の違いがあるのだ。まずは関東風の桜餅だが、いまも名高い向島(墨田区)の「長命寺(ちょうめいじ)桜もち」が元祖。江戸中期、桜の名所の隅田川堤の桜の葉を集め、塩漬けにして桜餅を考案、長命寺の門前にて売り始めたのが始まりで、折りからの花見ブームに乗って大当たり。薄い小麦粉の皮に餡を包み、塩漬けした桜の葉で包んだもので、これが今も関東で主流のスタイル。一方、関西の桜餅は、「道明寺(どうみょうじ)」ともいわれる粗くひいた道明寺粉〔もち米の糒(ほしい)を臼でひいたぶつぶつの粉〕で作った餅で餡をくるんだもの。桜の葉に包まれているところは同じだが、関東がクレープ風なら関西俵型。近ごろでは両方売っているお店もあるから、食べくらべてみてはいかが。
お城の石垣
photo 花見で城跡を訪れると、真っ先に目に入るのは、高く積み上げた石垣。しかし、城に石垣を用いた歴史は意外に新しく、大規模な石垣を城の周りに巡らせた例は、織田信長の安土城以降。しかも、高石垣が印象的なのは、石工の文化を持ち、石材にも恵まれていた西国の城がほとんど。関東から東北の城は、土塁が主役となっている場合が多いのだ。さて、この石垣だが、築造年代によって積み方が違っている場合が多い。いちばん古いのは自然石をほとんど加工せずに積み上げる野面積(のづらづみ)。時代が下るにしたがい、石の角を叩いて形を整え積まれた打込接(うちこみはぎ)へと代わる。これは姫路城や名古屋城など築城最盛期に見られる形式。江戸期に入って完成した積み方が切込接(きりこみはぎ)で、石を一つずつ方形に整え、隙間ができないように積まれたもの。城跡を訪ねた折りには、こうした石垣をじっくり眺めてみるのも楽しい。
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